聴けよお前ら…
これの経緯とか評価は別にまとめましたが、僕が気になるのはこれだけ騒ぎになってもこの曲そのものが話題になっていないことです。歌詞しか注目されてない。歌詞はもちろん大事ではあるが、どんな音楽でどう歌われているかを無視されすぎていることが残念、というか聴かずに評価するのはやめたほうがいい。というわけで、とりあえず再生してみましょう。VOLAとは何者か
さてその間に「VOLA & THE ORIENTAL MACHINE」がどんなバンドかという話をしておきます。2006年に1stアルバムが出ていて、当時の海外シーンの動向もいち早く抑えているバンドという側面もあったと記憶してます。正直Bloc Partyのパクリだみたいなことも言われてましたが、UKポストパンク・リバイバルをしっかり抑えて、そして電子サウンドの導入具合やレコーディングしたドラムの音を再編集して…というやり方では先駆的だったかもしれません。元々ナンバーガールではドラマーとして圧倒的な存在感を持ってた彼が見せた非凡かつ最前線のセンスに驚かされた人は多かったでしょう。結果としてはあまり人気が出ていませんが(ポストパンク・リバイバルがそもそも持つ時代錯誤感が強く出すぎてしまっていた気がします)壮大さを感じさせる作風が個性的ですし、メンバーも経験豊かで良いバンドです。この曲、歴史的では?
で、件のFlagですが、ほかの曲と比べてかなり曲調違います。即興性高くてかなり強引に曲を作ってて、ぎこちなさが意図的に出されている。良くも悪くも作りこまれていないし、そもそもあんま歌ってないし。それだけ喋りたい歌詞があったってことでしょう。それでかつMVが唯一作られている。当人はこのアルバムは「今回は自分らの主義を重点においています」と語っているので(元記事)尚更この曲が持つ重みを感じるところです。この曲はギャップがデカいと僕は思います。政治的な楽曲で、力が入っていながら、そこまでシリアスになっていないし共感を得るつもりもない。これは歌詞だけでなくサウンド面でもそうです。この不気味なズレが特徴ですが、これはネトウヨ的世界観を表現するという意味で考えればかなり完成度が高いと思います。界隈のシニカル具合がサウンド面にもうまく表現されてるということです。嫌味で言っているわけではなく、モチーフをうまいこと料理するのは重要なことです。それに恐らく、今でいうオルタナティブ・ライトの価値観をそのまま楽曲にした日本人バンドって稀なはずで、この「flag」は音楽史的にも一定の意味合いを持つのではないでしょうか。単にゴシップとして消費されるだけの楽曲ではないと僕は思っています。
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