M3秋2018での入手作品+αを全部レビュー【第四回】

引き続き同人音楽の新作をレビューしていきます、といいながらかなり間が空いてしまったんですけど。やだやだ。

紹介ではなくレビューなので基本大きなお世話のスタイルです。
今回はポップス方面です。

amorphous「day dream

コンポーザー・りでるによる、きまぐれ不定形音楽ユニット「amorphous」の「不定形少女音楽シリーズの6年ぶりの続編」ということで、4thミニアルバムのようです。

ボーカルに片霧烈火を迎えていて、…と当たり前のように書いてしまいましたが一応説明しておきます。同人音楽界ではレジェンドなボーカリストです。比喩でもなんでもなく、同人音楽史の本には主要トピックとして片霧烈火・霜月はるか・茶太の台頭が紹介されています(同人ボーカリストというものが存在しなかった時代が長いのです)。

そういうわけで、このミニアルバムの印象なんですが、とても正統派に感じられました。このサークルも活動は10年くらいされていますので、そういう意味では歴史を感じます。この感覚は割と言語化が難しいのですが、ちょっと現世ならざる神秘的なものを大事にしたアニソンという感じでしょうか(この同人音楽っぽさって使われるシンセだとかコードだとかで説明できそうな気がせんでもないんですが詳しい人助けてください)。曲のモチーフもday dreamとか回転木馬とか、ファンタジックです。個人的にはすごく安心して聴けるところがあります、変拍子の混じり方とか4曲目のふわつき感とか。変拍子とかふわつきに安心するのもおかしな話ですけど…。ちなみに僕は4曲目がお気に入りです。

ちなみに、amorphousはメンバーズカードを発行したり酒枡を作ったりと取り組みとしても面白いことをされているので、そのあたりも注目してたりします(※私も会員です)。

糸奇はな「SLEEP HOUSE」

糸奇はなは今一番気になっているアーティストであります。TVアニメ「魔法使いの嫁」のED曲に抜擢されてご存知の方もいるかもしれません。僕が初めて聞いたのは別の曲の「体内時計」なのですが、「クラシカルで爆音なのに距離感がつかめない」という不可思議な音体験をしました。どこから声がなってるのか分からないんですよね。この感覚は初めてでした。

でも、最初に驚いたのはサウンド面ですが、糸奇はなは実際にはコンセプトが分厚いことが特徴な作家です。phantmariaという仮想RPGを書き溜め(描き溜め)していて、舞台設定やキャラクターだとかストーリーが提示されているなかでそれを前提とした楽曲制作を進めています。というよりも、あくまで楽曲はその仮想RPG世界の一部と考えた方がよいでしょう。そのほかにも毎月発行のWeb ZINEやツイキャスやらと付随するテキストが相当に膨大で、彼女の中では制作することと生きることが直結しているのだろうなと思わされます。それこそ毎日の眠りと同じように。なお、このアルバムのキーコンセプトは「眠りは死の姉妹≪はらから≫」。この言葉をうまく音にしているような、心地よく暗いダウナーの作品になっています。

アルバム楽曲の細かいレビューはしません、というのも本人のセルフライナーノーツが公開されていて、しかもその量がやっぱり半端じゃないのでそちらを読めば色々分かると思います。http://lnrxrnl.wixsite.com/it0ki/monthly110-22
なんだかレビューというより紹介になってしまってはいますが、大量の詩について安易にレビューするってのは難しい。修行不足。
https://twitter.com/1t0lc1
https://110ki.com/

Mamyukka「黒猫ハロウィンホテル」

ミュージカルちっくな作品をよく作っているサークル「Mamyukka」の、おそらく22枚目のCD(そんなにあるのかよと今更ながら驚きです)。メンバーにデザイナーの未羽がいるのでCDの装丁も凝っている、というか、飛び出す絵本みたいな仕込みがあることが多くて毎回開封するのが楽しみなんですよね商業CDではめったにないと思いますし、いまどきのCDという媒体としてあえての作り方をしていて楽しい。

というわけで今作はオバケだらけのホテルで繰り広げられるドンチャカを描いたミニアルバムになっていて、「開廷☆みらくるハロウィン裁判」だとかスプラッターなタイプの赤ずきんちゃんだとかそういうメルヘンなホラーが大好きな人にはたまらない仕様です。いいよダークメルヘン。あくまでメルヘンなのでブルータルな音楽は一切入っていませんがそういうのを期待してる人は(僕以外)いないと思うので大丈夫でしょう。ちなみに今回のCDにはホテルの利用案内が挟まっておりましたがホラーハウスなので泊まりたくなる人とならない人がいると思います。音楽は可愛げのあるドタバタ演劇な感じではあるんですがコンセプトや歌詞をよく読んでみるとまぁまぁ禍々しいし。

それにしてもこれサークルのメンバー3人しかいないってのは僕には良く分かりません。ゲストボーカリストいないんですかコレほんとに。良く分かりません。音楽の世界は広すぎます良く分かりません。

http://mamyukka.tank.jp/hotel/

0 件のコメント :

コメントを投稿