コンテンツ業界関係者(笑)の自分が山田太郎を支援しない理由

ぼくは一応うっすらとアニメゲームマンガにかかわりがある仕事をしてまして、山田太郎候補(自民・比例)が表現の自由問題の解消を訴えて活動していることは以前から知っています。著書も持ってる。

今回、彼の支援者は53万の個人票獲得を目指して支援運動を展開しています。自民党内最大の圧力団体を目指すそうです。しかしぼくはタイトル通り、この支援運動にはかなり忌避感があります。で、そんなこと言ってると表現の自由の敵だとか共産党の手先だみたいなことを言われるんですよね。ねーよ。というわけで理由を文字にしておきたくなりました。
こういう画像が出回ってるけどぼくは疑問ですね…。
https://twitter.com/kilica/status/1147321052596301824

具体的には3つの疑問 ①青山繫晴ですら何もできないよ? ②大量得票はプラスになるの? ③表現の自由"全般"には興味がないのでは? です。

青山繫晴から学ぶべきでは

まずおかしいと思うのは、影響力の見積もりについてです。ネットでは「50万票集めれば自民も無視できない」「自民党の部会は全会一致が原則なので山田太郎が断固反対すれば改悪が阻止できる」というような言説が流れています。

先回の参院選で48万票の個人票を得た青山繫晴議員(自民)がいますが、彼はモデルケースになるでしょう。彼は右派言論界では大きな影響力を持っていて安倍総理の要請をうけて立候補し、鳴り物入りで議員になりました。草の根で50万近く集めたところも参考になるでしょう。そんな彼は入管法改正に反対キャンペーンを張りましたが…結果として影響力を持つことができず賛成票を投じています(本人曰く「修正にささやかに努力した」とのことですが)。なぜこうなるかというと、普通の組織でもよくあることかと思いますが、全会一致というのは現実的には「議長一任」を意味するからです。この辺りは元議員秘書が解説しています

問題はここから先で、実は最近は青山繫晴は右派言論界のなかでも批判を浴びるようになっています。見切りを付けられたということなのかは分かりませんが、これまでの影響力から考えればアレっ?という状況です。現実的に考えて、山田太郎が青山繫晴以上の影響力を持つとは考えにくいですし同様の状況に陥る可能性が高く、山田太郎の場合は自民党の主要政策と相反する発想も持っていますので下手したら後ろ指をさされて干される、ということも考えられます。石破茂ですらそういう状況ですからね。その点、どうも支援運動は自民党をナメすぎてないかと思います。

53万のオタクは圧力団体になりえるのか

それでも「得票が多いに越したことはない」という話になるでしょう。しかし、今回の選挙はとくに、年金・憲法改正・政府ガバナンスなどが争点になってますよね。そのなかでコンテンツ業界保護は脇道みたいなものです。そこで一大キャンペーンが行われている光景は、普通の人の感覚では「もっと他に大事なことあるだろ」って具合です。むろん熱心な信念があって投票するかたもいますが、客観的にみれば、山田太郎が大量得票すると「主要争点よりもコンテンツ業界保護を大事にする層50万人が可視化される」ことになると思います。こんなかたちでの政治参加が政治家への牽制になるの?むしろ「ちょろい50万人を発掘した」ってな具合では?…ぼくとしてはここが一番疑問です。

普通は圧力団体の投票行動は組織の意向が反映されます。いま報じられている通り「あえて敵対候補に票を入れさせる」なんて芸当も可能です。だから少なくとも、もし山田太郎の支援者層が存在感を持つとしたら、普通の圧力団体とは違う、なにか他の集団としてなのかなと思います。

山田太郎は「表現の自由」の代表的存在なのか

ところで先ほどから「コンテンツ業界保護」という書き方をしていますが、山田太郎氏の場合は表現の自由を守ることの主眼はここにあるように思われます。「表現の自由」の分類には言論の自由と出版の自由がありますが、政策一覧を見てもお分かりの通り後者に重きがおかれ、その中でもアニメゲームマンガに重点が置かれています(過去の発言や活動経緯からも伺えます)。

冒頭で「ぼくは一応うっすらとアニメゲームマンガにかかわりがある仕事」と紹介しましたが、自分の場合は「言論の自由」のほうが業務上大切なので別の候補を推す必要が出てくるのです。また、言論の自由の観点から行くと、自民党の公約である「緊急事態条項を伴う改憲」が危険視されているので、参議院の3分の2を改憲勢力が占めるのではないかと言われている現状では自民党候補である山田太郎へのネガキャンもあり得る…というか、むしろそのほうが一般ピーポー的な投票行動のようにも思います(ぼくはしないけど)。

他の候補者への影響について

なお、「50万票では新たに自民党議員が増えるほどではない」「山田太郎が他の議員を押しのける」という意見もあるようです。確かに比例では100万票上積みにつき一議席が動くかどうかですが、最後の一議席を争う際には充分な票差になります。また、前とは政党が変わってますので他所からすれば票が減ることになります。さらに、山田太郎を応援するなら自民党も応援しなきゃってなるのが普通の発想ですから小選挙区への影響もあるでしょう。

じゃあ誰に投票すればいいのか

結局のところぼくが言いたいのは「ここ5年のニュースを振り返ってから投票するのが大人のすべきことじゃないの?」ということです。つらつらと書き連ねましたが、ここ数年の自民党の動向を書いたにすぎません。すこし振り返れば、どういう政治家がどういう風に影響力を持つのか分かるし、いまネットで言われていることが正しいかも分かるはずです。

例えば時事通信社は2016年以降の主要ニュースまとめを掲載していて、3年分の見出しだけなら30分あれば目を通せる量かと思います(こちら)。そのうえで山田太郎に投票するならば意義深いことでしょう。そういう努力をする人が50万人集まるときは青山繫晴を凌駕するでしょうね。強い草の根こそが土壌を作るわけですから。

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