2016年4月8日金曜日

【M3春2016】お品書きとお知らせなど2点

ご無沙汰しております、あおいんでございます。 (はじめましての方は自己紹介を見てね)
さて、4/24開催のM3についてお知らせします。

コラム付きMP3ミニアルバム「非実在性芸音科学研究Vol.3」 を!作ってる最中です!
具体的には、「同人音楽の自由論(後編)」書きながら、うるさめのピアノロックとブレイクコア作ってます。
3曲入、24ページ、の予定。
(同人音楽はネットカルチャーとDIY主義という文脈によってアナキズム的な自由主義があるように見受けられるのですが、じゃあ実際の同人音楽はどんな感じなのかを実例や諸論考をたどりながら確認していきます。)


あと先回無料配布した「非実在性芸音科学研究petit Vol.1」 を若干リファインして再録します。
内容はすでにブログに載せてるので興味あるひとは過去ログあされ!

もちろん過去作品もお持ちします。
「非実在性芸音科学」 シリーズ Vol.1Vol.2
各200円 よろしくね。





 ②別サークルの作品に初参加!「R3magazine」に寄稿しました。

コラム「同人音楽よ、XVIDEOSと乱交せよ」とディスクレビュー1件を寄せています。

スペースはケ-02a「遥か彼方。」にて。
頒布価格は500円とのことですよ。









それにしても本業が忙しくて結構マズい。花見とか何それ状態…。

2016年3月6日日曜日

「表現の自由を守る党」はこのままでは正面突破されそう。

参議院議員の山田太郎氏が「表現の自由を守る党」を立ち上げたということで。
僕は同人音楽文化の視点から「表現の自由」についていくらかコラム書いたりしてますので、多少なり関心を寄せております。

山田氏は二次元規制反対についてコミケの会場にて演説するなどの活動で知られ、すでにTPP交渉の著作権分野などにおいて実績があるようです。 著作権法って文化的にも経済的にも影響がでかい割にはWeb社会やグローバル社会に対応できていないフシがありますから、この領域でいろいろと提言できる人材は意外と重要だと思います。
…ただ、僕は正直なところ彼の活動をやや疑問視しています。何でかというと、山田氏の「表現の自由」の関心が不自然にコンテンツ論に傾いているからです。
  
ネットで観れる範囲の資料を見てみる限りでは「二次元の表現の自由」に一番の焦点を当てている模様です。本人のメッセージで一番明白だったのを抜き出すと、「規制を強化すれば、今まで普通にマンガやアニメ・ゲームを楽しんでいた人たちの権利を大幅に奪うことになります。」とのこと。 
2013年ごろのブログの過去ログを見るとわかるのですが、山田氏は元々経営コンサルタントで、とりわけアジアでのビジネス展開支援に関心をお持ちでした。その文脈でソフトパワーやコンテンツ産業についても触れている記事があります。彼の表現規制に対する問題意識はそこから生まれたのではなかろうかと推測できます。

その一方で「言論の自由」に対する彼のスタンスがはっきりしないことが、非常に不気味です。その不穏さは「2015年の表現規制を振り返る」インタビューで出てきた、政権による報道圧力疑惑に関するコメントにて際立っています。 

「あと、その他、ニュースステーションがどうだとか、岸井さんの問題がどうだとか言ってますけど。かなり私も国会にいて、官邸や自民党というものは相当なものだなと。良いも悪いもですよ。かなり力を持っているなというか。徹底的ですよね。そこまでやる?みたいなことがけっこうあるので。だから、あなどれないなと思います。」

報道圧力については「その他」のトピックらしいですし、自民党による報道圧力を「敵ながらアッパレ」という具合で好意的に受け止めているようにも読めます。普通「表現の自由」を語るときに筆頭トピックになるのは思想信条やジャーナリズムの問題だと思いますが、彼の場合はそうではない。うーん、これで「表現の自由を守る党」のリーダーと言われてもなぁ…、というのが僕の感想です。
ちなみに彼のウェブサイトでの主張も見てみますと「報道の自由」に触れた記事もありますが、 やはり別の記事と比べれば自信のなさが目立ちます。
ちなみに彼のWebサイトのメニューにある「政策」ボタンにカーソルを載せてみると、彼の関心キーワードがズラっと表示されます。 上部に「児童ポルノ禁止法」「著作権非親告罪化」が表示されるわけですが、「秘密保護法」は「農薬問題」「花粉対策」よりも下位に表示されます。そしてこれをクリックして「秘密保護法」に言及している彼の記事一覧を見てみると件数は多いものの、 議会報告や会合告知が大半であり、ほかのトピックと比べると持論を展開していないことが見て取れます。

先述の通り二次元の表現の自由(とりわけポルノ受容の問題)は優先順位の高い権利ではありませんから、擁護する難易度が高いです。そのため山田氏は多彩な論点を立てることによって戦っていまして、この戦略家ぶりは称賛に値します。しかし、その能力があれば報道・言論の問題にももっと切り込めるはずなのに、そして今こそその時なのに、なぜか言葉を濁してしまっている。

古典的でサヨクくさい問題には「中立」のポーズをとるのが日本社会のトレンドになりつつありますが、「表現の自由を守る党」がそれで大丈夫なのか。それとも、与党批判を許さない党内事情に絡めとられているのか。いずれにせよこのままでは、いざという時に弱々しい妥協案に胸を張る政治家になってしまうのではないかという懸念が消えません。安保法制の議論において彼の所属する「日本を元気にする会」が見せた態度は、まさにそれでしたから。

以上の通り、肝心なところで力を発揮できない懸念があることと、「表現の自由」は幅広い領域で語られるべき問題である以上、「表現を守る党」は超党派団体として展開してほしいなと思います。

2016年2月17日水曜日

「大学とカネ」が世間を賑わす昨今について。

最近やけに「大学とカネ」のニュースが多いですね。僕の本業は大学職員なんで日頃からチェックしてるんですが、多くの人がかなりの関心をお持ちのようで。しかし結構誤解されがちな問題も見受けられますので、解説もかねて記事にしたいと思います。


最近話題になった「大学とカネ」のニュースのなかでも世知辛レベル高いのは以下の具合です。
 国立大学の授業料、15年後は40万円増の93万円に値上がりか…文科省試算
  大学に軍事研究資金 防衛省 公募に9件を採択
  新潟大、財政難で教員人事凍結 原則2年間、補充もなし
 「奨学金返済のために風俗で働く女子大生」

     ※そしてありがちな誤解はこんな感じ
  • 大学への資金投下は減っている一方だ
  • 返せないのに奨学金を借りるほうが悪い
  • Fラン大学を潰せば色々解決する 
  • 大学は現状の組織運営を維持すべきだ

まず「大学への資金投下は減っている一方だ」という話なんですが、最新の文部科学白書を見てみますと高等教育機関への予算はむしろ微増な具合です。減ってないのです。ちなみにこれは民主党政権下での「コンクリートから人へ」の影響があったりもします。

じゃあなぜ学費値上げや財政難が起きるんだという話なんですが、それは「運営費交付金」や「私学助成金」と呼ばれる、基礎的な補助金の枠を減らしているからです。これらの補助金は大学の規模や学生数等に応じて機械的に配分されるものですが、「これに依存してては競争原理や努力義務が働かない」ということで、何らかの取り組みをアピールできる大学や研究者に対して補助をする「競争的資金」の枠をどんどん増やしています。上記ニュースの「大学に軍事研究資金」もその一環ですね。ちなみに実はアメリカでは公的な研究資金の半分が国防総省予算=軍事費だったりします。2014年予算は680億ドルか、パネェな…。

一見するとこの競争原理は真っ当なんですが、そもそも各大学のスタートラインが違いますので旧帝大が圧倒的に強くなってしまっています。例えば冒頭で紹介したとおり財政難に陥っている新潟大学の場合、科学研究費補助金は東大の1/13です。私立大学だともっと大差がついていますね。また、補助金を取りやすい分野とそうではない分野がありますので、例えば医科大と教育大でも格差が出てしまいます。そして、特殊な取り組みや先進的な研究に資金を回す必要があれば日頃の教育研究へ資金が回らなくなるので、そりゃ授業料が上がります。少なくとも「大学のムダな取り組みを減らして授業料も下げよう」という話にはなりません、補助金を取りにくくなるので。
ここからお分かりかと思いますが、中小の私立大学なんて大した額の補助を受けていませんので「Fラン大学を潰せば色々解決する」ことはないのです。地方の若者が割りを食うだけになってしまう。

その一方で、学生の暮らしぶりは良くなっていません。データを見ると、仕送り額は下がる一方です(大学進学率が上がると家計が若干苦しくても進学させようとする親が増えます)。なので学生がバイトで稼ぐ必要があるんですが、最近は授業の出席数を重視しつつカリキュラムをガッチリ固めさせる政策を文科省がとってますので大学生のライフスタイルは以前と比べ融通が利かないはずです。最近は就活も長期化してますし、海外留学を義務化するような大学が増えると尚更厳しくなるでしょう。
とはいえ21世紀にもなって「高卒で就職しろ」ってのは建設的でもないですし、専門学校だって胡散臭いとこ沢山ありますから、この状況下では奨学金が求められてるのは必然的なもので、返せないのに奨学金を借りるほうが悪い自己責任論に着地させるべきではないでしょうね。一応給付型奨学金の整備が進んでますが、今のところ焼け石に水って感じが否めないかなぁ。

そういうわけで大学業界は改革疲れに陥っているのですが、じゃあ大学は現状の組織運営を維持すべきだと言ってる場合ではありません。世界的にみて日本の科学研究が沈没していってるのは明らかですし、時事の様子をみていれば人々の社会科学的な知識が足りてないのも明らかですし、そもそも科学や大学教育を信頼していない人だらけで。企業が求めるのは駅伝ランナーとかミスコン出場者で、大学院にいったら損するケースばかりじゃないですか。

でも責任は大学にあります。大学の教育にホントに満足した大卒者なんて珍しいくらいでしょう、そりゃ不信感が募る。この辺りは教育予算を増やせば解決する話ではありません。まずは大学は放任主義的教育を捨て、研究者はより生活に根ざしたアウトプットを出すべきだと思います。俗っぽく言えば、生臭い問題に学生も研究者もコミットすべきなのです。
民族差別を研究している若い社会心理学者である高史明は「"生々しい問題"を扱おうとしない日本の心理学に一石を投じたいと長年頑張ってきた」と言います。それがきっかけでハラスメントを受けたことも明言しています。しかし彼の出した新著は発売半年ちょっとで3刷まで増版され高い評価を受けているようです。それは新書などではなく、博士論文を元にして科学研究費補助金の助成を受けて出版された、れっきとした学術書であるにもかかわらず。…今までの学術界は何をしてきたんだ?

社会と大学・科学の信頼関係を再構築して支援者や応援者を増やさないかぎり、「大学とカネ」 の問題も根本的には解決しないのではないか、僕はそう思っているのです。そしてその解決度は就職率や改革進捗報告書だけで査定するものではないでしょう。

2016年1月24日日曜日

「"アナルカントはゲイ"なのでヘイトスピーチ規制はすべきではない」説を唱えてみる

先日大阪市が制定したヘイトスピーチ抑制条例(とペイントボール投擲事件)がちょっと話題になっていましたね。今まで「ヘイトスピーチなんて所詮ネトウヨのお遊びでしょ」と感じてる人も多かったかと思いますが、状況としては議会を物理的に妨害するレベルです。普通に考えれば「あぁこれはマズい状況だし規制もやむを得ないよな」と思うでしょう。※ちなみになんでヘイトスピーチ=差別煽動がダメなのかを端的にいうと、人が死ぬからです。最たる例がルワンダでの差別煽動が100万人虐殺に繋がった事例

ただし、個人的にはヘイトスピーチの法規制について慎重であるべきとも考えてます。理由は簡単で、僕の好きな音楽が引っかかる可能性があるからです(笑) …というわけで今回は「Anal Cunt」通称AxCxというバンドを紹介しながら、ヘイトスピーチ問題と音楽表現について触れたいと思います。

AxCxは「グラインドコア」と呼ばれる高速ヘヴィロックの中にノイズや即興を持ち込んだことや、その悪ふざけに満ちた活動で有名なバンドです。Wikipediaでは「多数のフォロワーを産んだ」とされていて、結構な影響力がありました。
さてその「悪ふざけ」 とは何かという話なんですが、差別ワードをぶつけまくることなんですよね。しかも実在の人物に対してもやるというのがスゴい。「*** is gay」という曲が大量にあります(その他にもバンド名からしてアレだし、一枚のCDに5643曲をつめこむなどの悪ふざけが伝説化しています)。

…と言うわけで、アルバム「It Just Gets Worse」を聞いてみましょうか。日本にてトイズファクトリー(メジャーレーベルだ!)から「怨みはパワー、憎しみはやる気」という邦題で出されてて、曲にも日本語タイトルがつけられているのですが…相当濁していますね。

とりあえず代表曲(?)のEasy E got AIDs from Freddy Mercuryから歌詞を引用してみます。日本語訳は僕が適当につけました。なおEazy-Eとはエイズで亡くなった伝説のラッパーで、QUEENのボーカルであるフレディ・マーキュリーもエイズで死去してます。


~~~
Even though you were black, you listened to Queen
You thought Freddy was the cutest guy you've ever seen
You went on stage and got fucked in the ass
You took an HIV test, you didn't pass
( 黒人のくせにクイーンなんて聴いてたEAZY-Eは
 フレディのことを最高のイケメンだと思ってた
 ステージまで会いに行ってファックして、HIV検査に引っかかった)

[Chorus] Easy E got HIV from Freddy Mercury ×4

[Verse 2]
You went to dinner, Freddy wore a leash
You ate fried chicken, Freddy ate quiche
Now Freddy's dead and he's in heaven
At his wake you ate watermelon
(二人で食事に行った時、EAZY-Eはフライドチキンを喰って
 フレディは革紐みたいな服着てキッシュ喰ってた
  フレディが死んだ後の葬式の時はスイカ喰ってた)

[Chorus] Easy E got HIV from Freddy Mercury ×4
 
~~~
 …とまぁ、ゲイ差別と人種差別と死体蹴りという差別煽動極まりない具合です。ちなみにフライドチキンは黒人の記号、キッシュはゲイの記号らしいです。スイカも黒人偏見のキーワードなんですが、海外サイトの書き込みによると、EAZY-Eはフレディの葬儀で本当にスイカを食べていたそう。黒人ギャング的存在感を崩さないために気丈に振る舞っていたとのこと。

で、これよりもっとゲスな曲が延々続くのがこのアルバムなんですけど、じゃあこういうのが排除されるべきかというと否でしょう。なぜなら、一つの音楽ジャンルを確立したミュージシャンの代表アルバムなので、規制どころか図書館に収められても不思議ではない存在意義があるためです。それにAxCxの場合はこの歌詞のバカさ具合が音楽そのものにも密接に結びついているために「別の歌詞にすればいい」という言い分も通用しません。あの演奏とこの歌詞がセットになってなければダメでしょう。

このように文脈を踏まえると「一見差別煽動に見えてもただちに排除すべきだとは言えない」場合があるのですが、逆に言えば、作品の特性や文脈を踏まえたうえで考えることで「AxCxは認められるけど、はすみとしこは非難されるべき」といった主張もダブルスタンダードではなく成立しうるかと思います。

安易に「表現の自由」だの「アートパフォーマンス」だのと難しい概念で語ろうとすると却って掴みきれなくなってしまうのがヘイトスピーチと芸術表現の問題かもしれません。とりあえずはまず、作品とその全体性を実際に味わって、ケーススタディしていくことが大事かもしれませんね(先日そういうふうに教えてもらいました)。そういう意味では、なんでもかんでも放送禁止にしてしまう日本の音楽番組は結構な問題を抱えているようにも思います。




参考資料に他の曲目についても一応紹介しておきますのでどうぞ。英文でも大体分かると思いますが、固有名詞のwikipediaのリンクを張ってスラングだけ付記しておきます。

    1 I Became A Counselor So I Could Tell Rape Victims They Asked For It
    2 Easy E Got A.I.D.S. From F. Mercury
    3 I Like Drugs And Child Abuse
    4 Laughing While Lennard Peltier Gets Raped In Prison
    5 I Convinced You To Beat Your Wife On A Daily Basis
    6 I Sent Concentration Camp Footage To America's Funniest Home Videos ※
    Concentration Camp Footage=(ナチの)強制収容所の資料映像

    7 Rancid Sucks (And The Clash Sucked Too)
    8 I Paid J. Howell To Rape You
    9 I Pushed Your Wife In Front Of The Subway
    10 Extreme Noise Terror Are Afraid Of Us
    11 You Rollerblading Faggot
    12 I Sent A Thank You Card To The Guy Who Raped You
    13 I Lit Your Baby On Fire
    14 Body By Auschwitz
    15 I Intentionally Ran Over Your Dog
    16 Sweatshops Are Cool  ※Sweatshops=労働力の搾取
    17 Women: Nature's Punching Bag
    18 I Snuck A Retard Into A Sperm Bank  ※Retard=知恵おくれ
    19 Your Kid Committed Suicide Because You Suck
    20 I Ate Your Horse
    21 Hitler Was A Sensitive Man
    22 You Robbed A Sperm Bank Because You're A Cum Guzzling Fag
    23 I Made Your Kid Get A.I.D.S. So You Could Watch It Die
    24 I Fucked Your Wife
    25 Into The Oven
    26 I Gave NAMBLA Pictures Of Your Kid
    27 The Only Reason Men Talk To You Is Because They Want To Get Laid, You Stupid Fucking Cunts
    28 I Made Fun Of You Because Your Kid Just Died
    29 Domestic Violence Is Really Really Really Funny
    30 Dictators Are Cool
    31 Dead Beat Dads Are Cool  ※Dead Beat=養育費を払わない親
    32 I'm Really Excited About The Upcoming David Buskin Concert
    33 Being Ignorant Is Awesome
    34 You're Pregnant, So I Kicked You In The Stomach
    35 Chris Barnes Is A Pussy
    36 Tim Is Gay
    37 Bt/Ac
    38 I Sold Your Dog To A Chinese Restaurant
    39 I Got An Office Job For The Sole Purpose Of Sexually Harassing Women

    2016年1月3日日曜日

    「反表現規制なんてやめちまえ」的な反響が来た件について

    先日書いた「表現規制反対とか言うなら萌えおこしなんてやめちまえ」がそれなりに閲覧されたようで、色々ご意見ご感想を拝見しました。

    あの記事の趣旨は「公共事業のなかでもとりわけ多くの利害関係者が絡む町おこしでは社会的な配慮のある表現(PC)が求められるのは当たり前であって、そこで問題が起きた時に”表現の自由”で開き直るのは厳しい」という話なんですが…実は反響の多くは別の文脈だったんです。

    先ほどの記事の最後でも若干触れたのですが、のうりんにせよガルパンにせよ、ネット上の暴言が目に余る一件でもありました。この「目に余るネット上の暴言を前に、"表現の自由"を考え直さなければいけないのではないか」という、反反表現規制の意識から記事が支持されたのです。

    僕は「非実在青少年問題」が起きたころから表現の自由の問題には関心を寄せていまして、そしてハードコアな音楽だとかマンガだとか現代アートだとかが好きな身として、そして音楽文化論をかじっている身として、安易に表現規制を進めることに反対する立場です(歌詞の自主規制とかホントに笑えない現状が有りますからね)。しかし、先ほどの問題意識から表現の自由を再考することについては、致し方ないのかなとも思いつつあります。表現の自由というルールが悪用されている昨今では「表現の自由を守るために表現の自由を規制する」という逆説も成立しうるからです。

    言論はプロレスに例えられることがあります。論理の攻防戦ですね。しかし本物のプロレスには、ルールとレフェリーがあり、そして特殊な訓練が必要です。簡単にいえば、受け身をとれない素人を相手したり、危険な技をかけてはいけないわけですね。言論にも似たようにルールや作法や倫理があり、科学界や報道ではそれらがガイドライン化されています。これらを守らないと信頼性や世論喚起力が崩壊してしまうので 「表現の自由を守るために表現を規制する」ことがごく自然に行われています。

    さて、ネット上の言論はどうなっているでしょうか。論理の攻防をはみ出して集団での人格攻撃は当たり前、プライバシー侵害、コラ画像こしらえてデマ拡散などなど、プロレスに例えるなら「選手生命を奪いかねない危険な技」が頻発していますよね。その結果ヘイトスピーチを筆頭とした社会問題が起きていますし、SNSアカウントを閉鎖に追い込むなどの個人的な問題も含めれば山のように他者への抑圧が発生しています。そのくせ当の本人は誰かをおちょくってるだけのつもりだったりするんですけど。ルールとレフェリーが存在していない素人試合ですもん、当然です。この状況下でSNS運営各社が新ガイドラインをつくって投稿内容の規制を推進するのは不可避でしょう(ニコニコ動画ですらそうししましたからねぇ)。

    ルール変更で試合がつまらなくなるスポーツもあるのと同じで、ネット文化の自由主義をホイホイ諦めていいのかという思いはあります。しかし、ルールが悪用されれば改定が検討されてしかるべきでしょう。ルール違反よりも、ルールの穴抜けのほうがガチで世間を揺るがす事件になりうるのです。

    2016年1月2日土曜日

    【新曲】痛々しいニュース

    【痛々しいニュース】という曲を作りました。

    シューゲイザーのような何かを作ろうとしたら何かヤケに乱雑になりました。何とかの時雨とかいうバンドのi notなんとかcrazyなんとかとかいう曲のアレをアレしたんで、多分そのせいです。

    シューゲイザーをあんまり聴いてこなかったので音の作り方の勉強がてら色々やってみたのですがやはりなんか違うよなーという出来になったのでもうやんねーと思う。




    つらい思いをしてる人を嘲笑するビジネスが廃れることを祈っています。(新年祈願)



    ~~~~~~~~~~~~~~
    安心ばかりの日々、壊れる。
    肝心な時にガキが喚く、純粋な思いを嘲笑う

    純粋な思いを嘲笑うリンチは楽しいかい?
    無実の罪でボコろうぜ?
    レイプは気持ち良いかい?
    若い娘は良く締まるんだろ?

    痛々しいニュースだね、広告料いくら?

    ネットの海に巣食う寄生虫、あなたの背中にも張り付いてるぜ
     ~~~~~~~~~~~~~~

    2015年12月26日土曜日

    表現規制反対とか言うなら萌えおこしなんてやめちまえ

    最近は「萌えおこし(萌えコンテンツによる町おこし・産官連携)」が「燃え起こし」になっておるようです。
    (個別のことについては他に詳しい記事が沢山あるんで割愛します、リンク先見てください)
    これらについて「言いがかりによって表現の自由が侵害されている」との怒りの声があがっているようなのですが、それに僕は違和感を覚えています。確かに、サブカル製作者はこれまで表現規制と戦い続けてきたので自然な反応なのかもしれません。しかし、これまでの問題とは異なるかと思ってます。
    これまでの表現規制問題は、有害コミック騒動や非実在青少年問題のように、主に「子どもの教育に悪い」「社会風紀を乱す」という、どちらかと言うと右派の主張が引き金になっています(こういう主張はとりわけ宗教右派に多いかと)。それに対してサブカル製作者サイドはそういう偏見と戦うため、既存の価値観に疑問を投げかけるような左派的な言説、そして人権の一種である「表現の自由」で対抗してきたわけです。
    ※たまに勘違いされているかたがいますが「サヨクは表現規制推進派でオタクの敵だ」と決めつけてしまうのは間違いです。例えば日本共産党は人権擁護法案について表現の自由の観点などから反対していました。

    ところが先述の炎上案件は大まかにいうと「ポリティカル・コレクトネス(政治的平等な表現)」についてのクレームで、これは反差別・反偏見の文脈で生まれてきた考え方ですから、左派からのクレームになります(上3つは「女性の偏見を固定化している」という話ですし、ガルパンの話は「兵器は町のイメージ形成に不適切」という話です)。

    右派からの攻撃から左派からの攻撃へ。どうしてこのような転回が起きたのでしょうか?
    それは「産官連携」という点につきると思います。


    そもそも表現の自由とは政権批判の自由にルーツがあるわけで、元々は行政を監視したり攻撃するためにあります。すると税金を受け取って行政サイドに立つということは、表現の自由を主張する側ではなく、表現の自由を主張される側になるはず。

    また、行政とコラボする以上は公金を使いますから、それはもう監視の目が厳しくなります。それに、黒字が出れば成功…というわけではなく、公共サービスとしての質も問われます。言うまでもなく、ポリティカル・コレクトネスは遵守しなければなりません(というか遵守義務が条例化されてるかと思います)。ちなみに僕も本業で公的補助金が絡む仕事をしているんですが、ホント色々厳しいですよ、いくつも念書書かされますもん。
    そして行政とコラボするということは、社会のお墨付きを得ることにもなりますが、そうするとサブカルチャー(下位文化)ではなくなるわけです。 サブカルのまま行政とコラボすることは難しいというか、自己矛盾をはらむかと思います。

    つまり、「税金使ってちょっとキケンな表現をする」なんてムリがあるんです。

    いまや萌え趣味は、迫害される側ではなく迫害する側になりつつあります。その自覚が欠けたままにトガったままであろうとすれば、自壊するときがくるかもしれません。というか、すでに自壊が始まっているかと思います。上記の炎上案件(特にのうりん!の件)、僕が眺めていた限りでは、逆ギレしたネットユーザーが反論を通り越した無礼な言動を乱発しまくったせいで事を大きくしたようにしか見えません。



    次回は自壊を自戒しような!!! (オチ)

    ~~~(追記)~~~
    ポリティカル・コレクトネスを問い直すってのも必要だし、それこそが本来のサブカルの仕事かと思ってます。でも、その本業を大事にしたいなら行政と距離をとらなきゃムリだし、際どいところに踏み込むには思慮深さを持っておかないと成功しないんじゃないかなぁ。

    続きを書きましたのでご興味があればどうぞ